【卓球】2021年スタートのWTTってどんな国際大会なの?目的や新大会の特徴を解説。

こんばんは。らっこです。

2021年から卓球の国際大会で「WTT」「WTTワールドシリーズ」という言葉をよく聞くようになりました。

WTTとは『World Table Tennis』の略称で、以前行われていたITTFワールドツアーに代わって立ち上げられた国際大会です。

日本からも張本智和・早田ひな・伊藤美誠・平野美宇・石川佳純・戸上隼輔らのトップ選手が参戦しています。

 

最初は私も「名前が変わっただけなのかな?」と思っていたのですが、テレビ・ネットで卓球観戦をしていると大きくシステムに変化があったことが分かりました。

「そもそもどうしてWTTがスタートしたの?」

「WTTになって何が変わったの?」

「世界ランキングには影響あるの?」

ちょっとネットで調べてみたところ色々な疑問が浮かんできたので、今後も卓球観戦を楽しむためにまとめておきたいと思います。

興味のある方は是非読んでみてください。

WTTは卓球をメジャー化するためにスタートした大会

WTTはワールド・テーブル・テニスという意味をもちます。

国際卓球連盟(ITTF)の子会社であるWorld Table Tennis Pteが運営を行う国際大会の新シリーズです。

→WTTの公式サイトはこちら

 

従来のITTFワールドツアーを廃止し、国際卓球連盟がWTTを立ち上げたのには大きく3つの理由があります。

  • 卓球のエンターテイメント化
  • 卓球の商業化
  • 卓球と卓球選手のステータス上昇

 

モデルとしているのはプロスポーツとしてのテニスで、『グランドスラム』として親しまれる4大大会(全米・全豪・全仏・ウィンブルドン)のような大会運営をしていきたいようです。

確かに『グランドスラム』は全世界でテレビ放映されていますし、優勝した選手はスターとしての名声を手にしています。

 

『グランドスラム』のような位置を目指すためにはスポンサーの獲得が必須です。

そのためには人気選手を大会に集める必要があるため、ITTFワールドツアーよりも出場資格に制限がかけられています。

また、エンターテインメントとして成立させて観客数を増やすため、「劇場やバーを会場としてショーアップする」「音楽やダンスを取り入れて盛り上げる」などの案も発表されました。

 

WTTが開催する大会の概要

 

WTT (World Table Tennis)が開催する大会は、大きく4つに分類できます。

  • グランドスマッシュ
  • WTTワールドシリーズ(カップファイナル・チャンピオンズ・スターコンテンダー・コンテンダー)
  • WTTフィーダーシリーズ
  • WTTユースシリーズ

図のような構成になっており、上に行けば行くほど世界ランキング上位者が出場できる大会です。

では、それぞれの大会の特徴をみていきましょう。

 

グランドスマッシュについて

テニスのグランドスラムをイメージした大会がこの「グランドスマッシュ」で、WTTが開催する卓球大会の最高峰です。

さらに、テニスやゴルフのメジャー大会のように、観客もプレーだけでなく大会そのものを楽しむエンターテインメント性のあるイベントを目指しています。

コロナの影響でいつから始まるのかは分かりませんが、卓球ファンが増えるような大会になって欲しいですね。

→2022年3月の「WTTシンガポール スマッシュ 2022」からスタートしました。

 

WTTワールドシリーズについて

「WTTワールドシリーズ」は、主に4つの大会で構成されます。

  • WTTカップ・ファイナル
  • WTTチャンピオン
  • WTTスターコンテンダー
  • WTTコンテンダー

以前のITTFワールドツアー(プラチナ・レギュラー・チャレンジプラス・チャレンジなど)に代わる大会で、世界各地の会場で実施します。

 

WTTフィーダーシリーズについて

「グランドスマッシュ」「WTTワールドシリーズ」の下部カテゴリーに位置づけられるのが「WTTフィーダーシリーズ」です。

 

WTTユースシリーズについて

ジュニアの選手が出場するカテゴリーが「WTTユースシリーズ」です。

 

主な5大会の実施種目や選手選出条件について

では、次に「グランドスマッシュ」と「WTTワールドシリーズ」の5大会の詳細を確認するにあたり、比較表を作成してみました。

選出条件に書いてあるWRとは「世界ランキング」のことで、エントリー選手のうちWRの上位○名を選出することを意味しています。

大会名称 グランドスマッシュ WTTカップ・ファイナル WTTチャンピオン WTTスターコンテンダー WTTコンテンダー
大会数 4大会
(最大開催数)
2大会
(男女各1回)
8大会
(男女各4回)
6大会 14大会
(最大開催数)
実施種目 シングルス
ダブルス
混合ダブルス
シングルス
ダブルス
シングルス シングルス
ダブルス
混合ダブルス
シングルス
ダブルス
混合ダブルス
シングルスの選出条件 男女各64名
・WRから50名
・予選通過8名
・開催国枠4名
・WTT推薦2名
男女各16名 男女各32名
・WRから30名
・開催国枠1名
・WTT推薦1名
男女各48名
・WRから30名
・エントリー選手の上位4名(WR20位以内)
・予選通過8名
・開催国枠4名
・WTT推薦2名
男女各32名
・WRから18名
・エントリー選手の上位4名(WR20位以内)
・予選通過8名
・開催国枠3名
・WTT推薦1名
ダブルスの選出条件 男女各24ペア
・WRから20ペア
・開催国枠4ペア
男女各8ペア なし 男女各16ペア
・WRから10ペア
・開催国枠2ペア
・予選通過者4ペア
男女各16ペア
・WRから10ペア
・開催国枠2ペア
・予選通過者4ペア
混合ダブルスの選出条件 16ペア
・WRから14ペア
・開催国枠2ペア
なし なし 8ペア
・WRから6ペア
・開催国枠2ペア
8ペア
・WRから6ペア
・開催国枠2ペア
賞金総額 200万〜300万USドル 150万USドル 40万〜60万ドル 20万〜30万ドル 5万〜7万ドル

 

WTTはITTFワールドツアー(旧シリーズ)と何が違うの?

2021年にスタートする新シリーズ「WTT」は、旧シリーズ「ITTFワールドツアー」から何が変わったのでしょうか。

その1:出場資格に制限があること

上記の表にも記載していますが、WTTの大会ではWR(世界ランキング)上位の選手に出場優先権があります。

男女シングルスの場合を見てみましょう。

  • グランドスマッシュ 各64名のうちWRから50名
  • WTTカップ・ファイナル 各16名
  • WTTチャンピオン 各32名のうちWRから30名
  • WTTスターコンテンダー 各48名のうちWRから30名
  • WTTコンテンダー 各32名のうちWRから18名

このように、WRが下位の選手には出場機会がほとんどありません。

グランドスマッシュ・WTTスターコンテンダー・WTTコンテンダーには予選もありますが、予選参加もWRが関係してくるためWR100位以下の選手の参加は難しい状況です。

以前のITTFワールドツアーであれば、下位選手も出場可能でした。

そのため、「国際大会初出場の選手が優勝!!」といったドラマティックな展開に期待してドキドキしたこともありました。

しかし、WTTでは上位選手同士の試合が多く見られる一方で、毎回同じような顔ぶれになるのでは?とも思ってしまいます。

スポンサーと観客を呼び込むにはスター選手の試合が重要になるのは分かるのですが、国によっては反対している卓球連盟もあるそうなので今後変更などがあるかもしれません。

 

その2:グランドスマッシュが始まること

WTTには「グランドスマッシュ」と「WTTワールドシリーズ」に大きく分かれています。

「WTTワールドシリーズ」は以前のITTFワールドツアーを引き継ぐ大会ですが、「グランドスマッシュ」は新しいコンセプトのもとに誕生した大会です。

それぞれの大会がどのようなカテゴリーに位置づけられているのか、次の表で比較してみましょう。

WTT
(新シリーズ) 
ITTFワールドツアー
(旧シリーズ) 
ランクが同程度の大会
グランドスマッシュ 相当する大会無し オリンピック
世界選手権
WTTカップ・ファイナル グランドファイナル 男女ワールドカップ
WTTチャンピオン 相当する大会無し 相当する大会無し
WTTスターコンテンダー プラチナ 大陸カップ
大陸選手権
WTTコンテンダー レギュラー

「グランドスマッシュ」はオリンピック・世界選手権と並ぶ最上級カテゴリーに位置づけられています。

現在、個人戦の最高ランクはオリンピックを除けば世界選手権です。

しかし、将来的には世界選手権を団体戦のみとし、個人戦は「WTTグランドスマッシュ」に移行する案があるそうです。

 

WTTは世界ランキングが上がりにくい?見えてきた問題点とは。

ここまで、新設のWTTについて調べてきましたが、そのなかでいくつかの問題点もあるように感じました。

下位選手には世界ランキングを上げるチャンスが少ない

出場選手をWR(世界ランキング)の上位から選出する方針のWTTワールドシリーズでは、予選にも出られるか分からないWR 100位以下の選手へのチャンスが非常に少ない状況です。

世界ランキングを上げるためには、試合に勝って「ランキングポイント」を獲得することが重要なのですが、出場できないことにはどうしようもありません。

シングルス優勝の場合のランキングポイント

  • オリンピック 2000ポイント
  • WTTグランドスマッシュ 2000ポイント
  • 世界選手権 2000ポイント
  • WTTカップ・ファイナル 1500ポイント
  • ワールドカップ 1500ポイント
  • WTTチャンピオンズ 1000ポイント
  • WTTスターコンテンダー 600ポイント
  • 大陸カップ・大陸選手権 500ポイント
  • WTTコンテンダー 400ポイント
  • 総合競技大会(アジア競技大会など) 100ポイント
  • WTTフィーダー 100ポイント

出場できなければ上位選手と戦うことも出来ないので、強い卓球選手が誕生する機会を逃してしまうような気がします。

「WTTフィーダーシリーズ」はWTTコンテンダーよりも下位ランクの選手向けの大会ですが、優勝ポイントも低いためランキングを上げるのはなかなか大変です。

 

エンターテインメント性を重視したカメラアングル?

前回の世界選手権をテレビ観戦していて気付いたのですが、解説の人がやたらと「国際卓球連盟の要請により横からのアングルでお送りしております」って言うんですよね。

これは、卓球台の横から撮影しているという意味なのですが、もともとは縦アングル(選手の後ろから)が主流でした。

実際に卓球をしている方や卓球ファンの方からは不評のようで、「縦アングルに戻してほしい」「球の高さが分からない」「どんなモーションで技を出しているのか分からない」というつぶやきを多く見ました。

一方、あまり卓球観戦をしない人からは「横からの方が見やすい」との意見もあったので、より多くの人に見てもらうエンターテインメントとして横アングルを採用したのかもしれません。

実際のところは分かりませんが…。

 

スケジュールが決まるのが遅い

新設された大会であるからなのか、コロナ禍が関係しているのか…。

WTTは試合スケジュールが決まるのが非常に遅いという特徴があります。

WTTのスケジュール決定を待っていたらいつになるのか分からないので、日本卓球協会はさっさと国内大会のスケジュールを決めました。(→ラリーズの宮崎強化部長のインタビューより

 

まとめ:WTTは新シリーズなので色々変更点が出てくるかも。

新シリーズとしてスタートしたWTTですが、下位選手の世界ランキングが上がりにくいなど問題点もあるようです。

また、世界的にもコロナが終息したとは言えず、大会が無くなったりスケジュールが変わったりということも起こると思います。

とはいえ、卓球の新しい一面が見える大会になるかもしれないので、今後も注目していきます。

 

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